鼠径ヘルニアの治療は?
鼠径ヘルニアを治すには、弱くなっている腹壁の修復が必須であるため、手術以外に根本的な治療法はありません。現在鼠径ヘルニア手術は、人工物であるメッシュを使用して壁の補強を行うのが主流です。代表的な手術は、鼠径部の皮膚を3~5㎝程度切開して、メッシュをおく「鼠径法」と、鼠径部以外のところに1㎝以下の創を3か所あけて内視鏡でメッシュを腹壁におく「腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術」があります。
当院の鼠径ヘルニア手術の特徴
当院では「鼠径法」で手術を行っています。従来、鼠径法の手術の多くは脊椎麻酔(腰椎麻酔)で行われています。脊椎麻酔手術の後は、下半身が半日ほど動かなくなるため、ベッドの上で翌朝まで安静にしていなければなりません。手術日はほぼ絶食となるため、点滴も必要です。麻酔の作用で、排尿ができなくなるため尿道カテーテルの挿入も必須です。術後は頭痛などの副作用がでることもあります。一方、近年普及してきた腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術は、創が小さいというメリットがありますが、心臓や肺に病気がある方やご高齢の方には負担の大きい全身麻酔が不可欠な手術であります。
当院の鼠径ヘルニア手術は、局所麻酔を主体としながら、静脈麻酔、マスク麻酔などを併用したバランス麻酔を行うことによって、術後数時間で帰宅することも可能です。食事は手術直前の1食は抜きますが、術後は普通に食事をとり、トイレに自分で行くことができます。日頃飲んでいるお薬の大半は継続して飲むことができます。最近では、抗凝固薬(血液サラサラのお薬)を飲んでいる方も多く、手術のために中断することは脳梗塞など血栓症のリスクを伴います。局所麻酔手術では、原則1種類であれば継続したまま手術が可能です。
当院は病床完備されており、日帰り手術では、一日入院の形で病棟のベッドを使用しますので、ゆったりと過ごしていただけます。また、術後は一日、二日、入院でゆっくり過ごしたいと言う方のご希望に沿うことも可能です。現在は、術後一泊して翌朝退院を希望される方が最も多いです。